新房監督×シャフトの初のオリジナル作品、それも魔法少女もの。
否が応でもなのはと比較してしまいそうな本作、
ハードルは上げまくって期待はしないという嫌な視聴者として臨みました。
新房監督の作品は化学反応が起きるととんでもなく面白いものが飛び出してくるものの、
そうでない時は意外に印象があっさりしてしまうような。
第1話、初見の感想は「思ったより面白かった」でしたが
どうも引っかかるところがあって2度目見返したら
梶浦由記さんの音楽の力もあり、久しぶりにドハマりしました。
個人的には、第1話で主人公の変身シーンが無いのは魔法少女ものとしてガッカリだったのですが、
「変身が無い」こと自体が次回への「ひき」の一つになっていたかも。
アバンは定番の夢オチから。
足元が歯車になっている逆さに浮かんだ魔女?の後ろに9が並んだような魔法陣。
一人で戦うほむら。
攻撃を受けて倒れながらもまどかの方を見て何かを叫ぶ。
「こんな結末を変えられるの?」
ループものの伏線に取れる要素が結構あるけど(まどかも「円」だし)、ミスリードかもしれない。
「もちろんさ。だから僕と契約して魔法少女になってよ」
キュゥべえが怖すぎる。表情変わらないし口すら動かないし…
夢オチからのオープニング。
こんなに主人公が泣きっぱなしの魔法少女のオープニング初めて見たよ!
・冒頭の背中を向けて一人でぽつんと立って涙を流すまどか
・NG集みたいなコメディタッチのカットを重ねながら、画面の傍で段階的に泣いていくまどか(表情はデフォルメ気味)
・最後、黒猫を抱いて泣き笑いをうかべるまどか
サビの直前に出てくる短いカットの連続は、
・家族集合
・ケーキを食べるまどか・さやか・仁美
・運動会中っぽいまどか・さやか・仁美・先生
・さやかとヴァイオリンを持った少年(かみじょう君?)
・添い寝するマミとキュゥべえ
・空になったチューペットらしき物をくわえる赤髪黒リボンの女性
・真俯瞰で傘を持って空を見上げるほむら
少なくとも1話に出てないキャラがあと2人はいるわけか。
空を見上げるほむらの真上からのカットと、雨の中走り出すまどかの真下からのカットが繋がってる。
サビ、雨の中必死に走るまどか。
サビで戦闘シーン的なものが出てくるかと思ったけどあくまで本編のお楽しみかー。
色使いや演出はポップだけど、あくまでも「雨」と「涙」でイメージが統一されてる。
まどかが目を開けると猫のシルエットが浮かび、
黒猫を抱いて寝転びながら雨の止んだ空を見上げて泣き笑いを浮かべる。
空から落ちて来る雨のしずくとまどかの涙がシンクロしていてすごく良い。
最後、まどか・さやか・マミは三人での笑顔のカットがあるけど、ほむらもあくまで一人。
でも最後の三人のカットでさやかがまた黒猫抱いてる。
ほむら=黒猫説も一応可能性の一つに入れておこう…
ただの新マスコットキャラもしくは真マスコットキャラかもしれないけど…
本編ざっくり感想。
人の動作の繋がりではなくあくまでテンポ重視でカットを繋げていく感じがいかにも新房作品。
現代日本が舞台でもなんとなく異世界にでも連れて行かれたような感覚にとらわれる事が多い新房作品ですが、今回は近未来な舞台にも関わらずいつもより地に足がついている感じがする。
モブや日常芝居の扱い方の違いなのか。
こんなにしっかりキャラクターに日常芝居させているシャフト作品、ほとんど見た事ないかもしれない。
まどかが座ってパンを食べ始めた直後に「行ってきまーす!」とパンをくわえて家を出てたり、なんか地味に気になる点はいくつかあったけど。
これまで新房×シャフト作品では散々意味もなく背景にネタを仕込んできているので、
背景で描かれているものや不自然に感じたカット等が単なる遊びなのか伏線なのかが分からない。それが面白い。
転校生なのにクラスの保険委員を把握した上で「連れてってもらえる?保健室」と言いつつまどかの前を歩く、完全に保健室の場所まで知り尽くしたほむらさん。
「暁美さん?」
「…ほむらでいいわ」
「ほむらちゃん…」
「何かしら」
「その…変わった名前だよね」
このあたりで悔しそうに歯を食いしばるほむら。
ループものとは限らないけどすでに学校に来たことも、まどかに会ったこともあるってことですか。
とりあえずほむらさんは1話を見る限りだとまどかが大事でしょうがない風に見えます。
「あなたは鹿目まどかのままでいればいい」
このセリフも深読みしようと思えばできなくもない。
「今のままいればいい」とただ言うのではなくあえて「鹿目まどか」のまま、と言うあたり。
それにしても、ほむらがまどかに詰め寄っていたとは言え、
事情も聞かずにいきなりクラスメイトに消火器ぶっかけて投げつけるとか、
さやか、やりよる……
異空間設計は劇団イヌカレー!!
これ、今後異空間のシーンが増えて行くとしたらイヌカレーさん死んでしまうのでは。
「変だよここ…どんどん道が変わって行く…」
道が変わるってレベルじゃないから!
うめてんてーの可愛らしいキャラクター原案にイヌカレーさんの不気味でキッチュな画面構成。
ミスマッチが奇妙にマッチしている。
自分たちが作りたい絵のために、あえて他の人の手に委ねることで起きる化学反応。
Togetter - シナリオ担当虚淵玄氏、「血溜まりスケッチ」第一話を語るマミの武器は「マジカルマスケット銃」だったのか。
マジカルなのに、「いやマスケットはあくまで単発だから銃増やすよ!」という硬派なこだわり。
あの一連のシーンは鳥肌だったので、他のキャラクターの攻撃シーンが楽しみ。
大量の銃での攻撃シーンは「少女革命ウテナ」的ですね。
おそらくイメージを拝借しているのではないかと思いますが。
「今回はあなたに譲ってあげる」というマミさんの言葉から、
魔女狩りを競っているのでしょうか。
そんなことより何よりキュゥべえやまどかに用がある様子のほむら。
最後立ち去る直前の、後ろを向く瞬間の何とも言えない表情がたまらんですわ。
「助けて」と呼び出したのはまどかだけなのに、
いつの間にさやかも魔法少女候補に?
主人公とほぼ同じ立ち位置の友達まで魔法少女になるとか、
とりあえずさやかには悪いフラグが立ちまくっている…
むしろフラグが無かったら空気キャラになりかねないし…
物語の導入としてはありきたりで魔法少女的ではある。
あらすじだけ取り出したらそれこそ「なのは」の第1話とほとんど変わらないくらい。
(キュゥべえが怖いのは、止むを得ない事情で主人公を魔法少女にするのではなく、最初は「助けて」と言ってたくせになぜか次の瞬間には「君たちを魔法少女にするために呼び出した」的な発言にすり替わっているあたり)
これまで散々やられてきた魔法少女ものの展開を踏襲しつつも、
あのスタッフ陣でできること、深夜アニメとしてできることに挑んでいる点に、
ワクワクせざるを得ない。
あと1話の絵コンテが芦野芳晴さんだったのもちょっと驚き。
アクションディレクターに阿部望さんと神谷智大さんを置いていたり、
ガチで魔法少女ものをやる意気込みを感じる。
ノーモア富士山、頑張れシャフト!!!
TVアニメーションって常にエンターテイメント性と効率性との攻防で成り立っていると思う。
そういう中で、それを逆手に取るような奇抜な演出で見せてきたのが新房作品であり、
異常なこだわりを貫いてエンターテイメントに昇華したのが「化物語」なのかなぁと。
まどかマギカはまたさらに違う方向にTVアニメの可能性を見せてくれる作品になれるかもしれない。
…と、1話の時点では思ってしまいました。
これで2話以降擁護のしようがない展開だったら悲しいなあ。
どう転んでも好みな作品ではあるのでBD買う価値はあるけど。
とりあえず4人の友情関係もしくは人間関係を、
どれだけ(私の心を掴む感じに)描いてくれるか…
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